超遠心分析 Analytical UltraCentrifugation (AUC)

溶液中に分散した粒子のサイズ分布、分子量、分子間相互作用、などを高い信頼性で定量的に解析可能な手法です。20万g程度の遠心力をかけて溶液中の蛋白質を沈降させ、沈降パターンを解析します。

この超遠心分析法そのものは100年近く前にSvedbergにより開発され生化学分野を中心に利用されてきました。2000年代に入り装置の進歩とコンピュータのCPUの発達により超遠心分析は新たなステージに突入しました。従来は不可能だった沈降パターンの直接フィッティングが可能となったのです。

私たちは世界でも最高峰の超遠心分析技術を持っていると自負しています。吸光度とレーリー干渉法による沈降パターンの観測が通常ですが、加えて、蛍光検出器を使った観測も可能で、血清中など多くの成分が共存する環境中での挙動を正確に評価できます。

信頼性が高い超遠心分析のデータ取得、さらに正確な解析のためには、一定のトレーニングが必要です。そのため、定期的にワークショップを開催し、超遠心分析の基礎、測定や解析のコツ、の講習を行っています。詳しくは、生体分子解析フォーラムのホームページをご覧ください。

質量分析 Mass Spectrometry

生体高分子の一次構造解析と高次構造解析では欠かせない手法です。一次構造解析では、ペプチドマッピングだけでなく、全長のまま測定し、蛋白質が精製や保管中に受ける酸化などの化学変化を定量的に解析します。

高次構造解析では、ネイティブマスとよばれる手法により、非共有結合により形成している複合体をそのまま質量分析で測定し、化学量論を決定します。また、水素重水素交換質量分析法(HDX-MS)では、立体構造の比較や相互作用部位の決定、などが可能です。

粒子分散度計測 Particle Charaterizations

溶液中に分散した高分子の粒子サイズと存在量を定量的に解析し、溶液の安定性の評価や機能との関連の解明を行います。高分子の粒子サイズは、1nmから100μmにいたるまで幅広く、サイズに応じた解析手法を適切に用いる必要があります。

私たちの研究室では、サイズに応じた測定手法を有しており、例えば、100nm以下であればサイズ排除クロマトグラフィーや超遠心分析、200nm〜2μmは共振式質量測定法、2μm以上ではフローイメージング解析や定量的レーザー回折法、などを利用します。

他にも動的光散乱法、のような解析も必要に応じて実施します。データ解析に必要となる、粒子の密度や偏比容、溶媒の粘度等も粘度計や密度計を用いて決定しています。

分子間相互作用測定 Inter-molecular Interactions

蛋白質同士や蛋白質と低分子の分子間相互作用の定量的評価を行っています。等温滴定型熱量計では、結合親和性と結合比に加えて、結合エンタルピーや結合エントロピーなどの熱力学的なパラメーターを直接求めることが可能です。

溶液中での自己会合の解析には超遠心分析沈降速度法とネイティブマス利用しています。これらの手法を組み合わせることで、5成分以上が共存する場合の定量解析にも成功しています。